開発規制地に博物館建設へ 然別湖畔で十勝毎日新聞社 周辺にナキウサギ生息、保護団体が反対
【鹿追】開発行為が規制されている大雪山国立公園の第一種特別地域内にある十勝管内鹿追町の然別湖南岸で、十勝毎日新聞社(帯広)が、老朽化して使われずにいる同町所有の元保養所を壊し、博物館を建設する計画を進めていることが十二日分かった。同社は「(環境に)影響を与えないような形で工事、運営を考える」とするが、周辺は希少種ナキウサギの生息地だとして、自然保護関係者から反対の声が出ている。
(中略)
十勝毎日新聞社長室によると、鹿追町から打診を受け検討。系列のホテル会社が同町から建物の無償譲渡を受け同じ規模で改築、然別湖の動植物などについて展示する計画という。駐車場も備える。九月から環境影響調査を行っており、来春にも環境省に事業計画を提出する予定で「許可が得られれば早期に開館したい」としている。
第一種特別地域は最も規制の厳しい特別保護地区に準じて景観を保護することが求められ、建物の改築などには環境省の許可が必要。約十年前に定められた大雪山国立公園の保護と利用に関する管理計画には、元保養所を「博物展示施設」とする方針が盛られているが、同省は「事業計画を見なくてはコメントできない」(上士幌自然保護官事務所)としている。
十勝自然保護協会の安藤御史会長は、現場は建設が中止された士幌高原道路予定地の近くだと指摘。「人や車が常時出入りすることでナキウサギなどの生息域を侵す。元保養所を撤去するなど自然に戻すのが一番」と話し、中止を訴えている。
ほぼ、まるまる転載してしまった…。まぁ、今更ジローなのでアレだが、このブログでナキウサギのエントリを初めて掲載したとき、WRC『世界ラリー選手権』の共催に十勝毎日新聞社(以下、「勝毎」)の名が入っていることを指摘した。
勝毎は十勝地方で絶大なシェアを誇る地方新聞社で、ブロック紙の北海道新聞社(以下「道新」)ですら足元にも及ばない状況らしい。
今の景気が、いざなぎ景気と並んだ…とか言われているが、この北海道じゃ景気回復など微塵も感じない。流石の道新も、景気回復の遅れが響いているのか、広告収入は減る一方だとか…。
そりゃ、ただでさえ足腰の弱い北海道の民間企業。そこから収益を上げようにも「メシの種」がダメダメならば…ってヤツだ。そうなると、購読料である程度を補わなきゃならないってのは明白な事実。
で、WRCのルート設定に際し、ナキウサギの生息地域をどうの…ってことで、保護団体が噛み付いたわけだが、その際の調査手法や資料の提出を有耶無耶にした運営組織であって、その片棒を担いでいたのが「勝毎」が共催する以前に名を連ねていた毎日新聞社。まぁ、毎日との資本提携は無いのだけど、このイベントの誘致・開催に尽力した2社である。そして「勝毎」は、十勝地方を代表する多角企業でもあって各方面に影響力を持っているだけに、「道内での成功」と「国内の成功」のために、この2社が名を連ねたのは必然だったのだろう。
で、この「勝毎」と「道新」には、シェア争い以外の怨恨も有る。新聞社の統廃合で1939年に北海タイムス。42年に「道新」に経営統合された経緯があり、52年に日刊紙に復帰している。
十勝地方の人々の気質は、札幌をライバル視する傾向がある。道新が十勝地方で大苦戦する背景には、気質や過去の出来事も考慮すべきだろう。
ほいでもって…話は前に戻るけど、そのシェア争いも現状のままでは埒が明かない。そうなると、「記事の内容」で勝負するという本来の形になるのだけど、引用した「道新」の記事ってのは、勝毎に宣戦布告したとも受け取れる罠。それも、「動物愛護」という分かりやすく感情に訴える手段を以って…と(苦笑)。
このエントリを書くための「物事の見方」ってのは、とても邪だと思う。勿論、現場の記者が「こんなアホなこと」を考えて記事を書いている…とは思えないし、思いたくも無い。だけど、「道新」のナキウサギ報道の在り方に、疑問を感じているのも事実だったりする。
私見としてだが、『ナキウサギを天然記念物に登録』しようとする動きってのは否定しないし、「保護すべき対象」だと思う。
その一方で気に入らないのは、保護活動の取材を優先しているようにも見えて、登録を果たした将来に待ち構ええる「地域の問題波及」について全然議論されていないというか、取材源を保護団体と教育委員会に限定して「そうならない」ような報道…つまり、そこに暮らす人々を置き去りにしているようにも見える。
知床の世界自然遺産の登録では、地域の住民と関係役所、有識者や科学者も交えて議論を積み重ねてきた。時間は掛かるが、「一体化した見解と理解(コンセンサス)」を得るため、それが本来の姿で有ると思う…勿論、全ての要求が満たされるわけではないけど。
オイラが危惧するのは、転載した記事の青字下線部。道新に掲載されるのはすべて、保護団体に「都合の良い内容」と「言い分」で、偏っているように見える。地域や道内での議論を活発化させるために「報道」するのも手段である筈なのに、青字下線部のような主張だけが先走りし、それが成されていないように見えるのだ。
地方の医師不足が深刻化するなか、緊急医療体制の整備に道路は必要だ。「ならば、その土地に高度医療を施せる施設を…」と考えるのは安直で、それを整備してみたところで、高給を積んでも医者が来ない現実がある。
また、流通・経済面をとってみても、同様のことが言えるだろうし、ナキウサギの生息地域の開発を完全に規制してしまうのは、道東とそれ以外の地域を隔離してしまう可能性を多分に孕んでいる≪センシティヴな問題≫でもあると言えるだろう。
そんな道新のスタンスに、チョット「危うさ」を感じていたので、揶揄するような導入で牽制してみたのだけど…。
自然の中で写真を撮る者として、ナキウサギの保護に協力したのは山々。だけど、この流れのままで…となるなら、否定材料を見つけてきて、もっと議論する方向へ持ち込みたいな、とも思ってたりする。
ナキウサギ同様、人間(生活)だって大切 なんだし。



